喰女-クイメ-(DVDにて)

2016.06.30

 

 色んなことが一段落して、一人で寂しいので映画を見る。

 見ようと思っていたDVDが全部借りられていたので、気になっていたけど見ていなかった映画を借りる。

 監督は三池崇史。痛そうだな、という印象(物理的に)。94分と短い作品。原作は山岸きくみの『誰にもあげない』。気になるので読んでみようかなと思う。

 EDが素敵だった。

 

 気になる映画は、見る前にレビューを読んでしまうのだが、この作品に関してはレビューを読んでもいまいち分からなかった。レビューで満足しちゃうと見ないんだけれど。好きなレビューサイトをいくつかまわったけれど、視点の定まらなさそうなところが面白そうで結局観賞する。

 柴咲コウ市川海老蔵はやっぱり綺麗。脇を固める役者さんも豪華。加代子を演じたマイコがとっても素敵だなあと思った。

 

 舞台を映像にしたような撮り方で正面性が高い。舞台の美術がすごく美しくて、現代的な作り方をされてる。ドッグヴィルとか、アンゲロプロスの作品とかを思い出した。画面もずっと暗いし、ずっと舞台のなかというか、幻想のなかにいるような感じがする。もしかしたら最初から最後まで、全部誰かの妄想なのかも知れないし。

 

 浩介(市川海老蔵)は売れない役者という設定らしいんだけど、正直言って海老蔵さんが役者としてしっかり存在しすぎているのであまり説得力がないような気がする。あまり映画では描かれていないけど。

 美雪(柴咲コウ)は劇中では最初から病んでいる。妊娠検査薬を何度も使ったり、大量の料理を作ったり。下半身ゆるゆるで軽薄な浩介に対して、徹底的に待つ女の姿勢を貫いているけど、もう現実と妄想の境が分からなくなっている。身籠ってもいない子供をフォークを使って堕ろそうとしたり。(※産もうとしていた説もある)

 見ていてとてもつらい。もうずっと昔からの積み重ねで、二人の関係はとっくの昔にだめになっていて、お互いに都合のよいところしか見ないようにしている。どうしてこんなに行き違ってしまったんだろう。劇中では何もわからない。ただ二人がだめになってしまっているというだけ。

 

 わたしが見ていてとても良いなあと思ったのは、宅悦(伊藤英明)の存在。伊藤英明ってこんなことも出来たんだなあ。なんだかいつも誠実な好人物ばかり演じているようなイメージなので、宅悦のような俗物も出来るならそういう役もたくさんやってほしいな。良い意味で、全然伊藤英明らしさがなかった。

 

 結局、自分の業に飲み込まれてしまったということなんだろうか。

 それとも、これが愛なんだろうか。

ズートピア2D吹替(2度目)

2016.06.05 13:55

MOVIE ON シアター7

 

 2回目を見ました。

昼食前だったので、ポップコーンとホットドッグとドリンクのセットを購入。

日曜日だったためかとても混雑していて、最前列真ん中の席。イオンシネマはいつ行っても空いてるんだけれど何が違うんだろう。家族連れが多くて、観賞中も後ろの席の小さな子による合いの手が微笑ましかった。

 

 2周目なので、言葉遣いやセリフを見るとなるほどなあと思う場面が本当に多くて、改めて脚本の作り込みに感心した。

それだけに、吹替でなく字幕で見るほうが面白いのだろうなあと感じる。どうして関東近辺にしか字幕の上映がないんだろうなあ。

色んな小ネタに気を配りながら見ていたんだけど、結構見落としてしまったのでもう一回くらい見たいところ。ニックとジュディの会話のシーンで、ブルーベリーを食べるところすら伏線になっているなんて本当に抜け目がない。

 

 ガゼルが歌う主題歌は、あまり日本語の音には合わない楽曲じゃないかなあ、というのと、シャキーラがドスの効いた張りのある声なのに対して、Amiはポップス向きの喉を使った可愛い声なのでライブのシーンは吹替と歌声にやはり違和感がある。Amiは何も悪くないと思うけど。割と棒読みだったけど、ミステリアスな歌姫の雰囲気で悪くないと思う。

 

 それと一緒に見ていた人間が指摘していたことで、犬や猫のキャラクターが居なかった。愛玩動物ズートピアに居ないのでは?ということに気付かされた。

 

 2周目の感想はこれくらい。

高台家の人々(原作立ち読み)

2016.06.05 20:10

AC スクリーン6

 

 大きな画面で斎藤工を見たかっただけである。

 柚子ジンジャーソーダとレリッシュの乗ったホットドッグを購入。870円。今日は映画館で食事してばかりだな。

 

 お客さんは、遅い時間なので貸し切りかと思いきやわたしの他にもう一人。

 

 映画に対してはそれほどの期待もなく、でも好きな役者さんがたくさん出ているし、綺麗な人達を見ているだけで楽しいだろうなという気持ちで観賞。思ったよりも楽しめて満足。前半は何度も見て笑って癒されたいけど、最後まで通して2回は見なくていいなと思う。

 

 木絵(綾瀬はるか)がとっても可愛い。妄想癖があって、ぽやっとしてて野暮ったくて、部屋がお洒落でとても魅力的。木絵の妄想に出てくるたくさんの脇役が、全員脇田部長(塚地武雅)なのも面白い。妄想のシーンも色々な映像の作り方がされていて、その突拍子もなさがよく表現されている。

 光正(斎藤工)は言わずもがな綺麗でしたね。木絵の妄想に何度も吹き出すところがかわいかったな。

 和正(間宮祥太朗)も茂子(水原希子)も好き。由布子(大地真央)も好き。綺麗な人たちがたくさん出ているというだけで楽しめる感じもする。

 

 一番笑ったのは、英語の苦手な木絵のおかげで、妄想の中の光正も英語が話せなかったところ。中学校で習った定型文しか出て来なくて全く話が進まないどころか緊迫した場面でなぜかリンゴの話になってしまう。可愛かったな。

 

 勿論フィクションだし、物語に突っ込むのは野暮なのだが、見ていて少々居心地悪い。木絵は少し考え無しすぎる。婚約者(自分)お披露目のパーティーにメール一本で遅刻したり、結婚式の本番、誓いの言葉の場面になって逃げ出すし、いい大人がそれはない。光正(斎藤工)は元華族で、対する木絵は普通のOL。身分違いで戸惑うことや、光正に釣り合うよう努力するため我慢しすぎて潰れてしまうこと、それらの心の動きは当然理解できるし、共感できる。でも、そんなドタキャンはちょっと幼過ぎる。

光正にしても、木絵の妄想に癒されて恋するところまではいい。食事に誘って付き合って、家族に紹介して婚約するところまではいい。いいんだけれど、旧家の作法に戸惑う木絵に「君は変わらなくていい」と言うだけじゃ、木絵がはいそうですかと納得するわけがないのは自明のことだ。

物語の進行上仕方がないと言われればそれまでなんだけれど、その”微妙”な人間らしさに少しイライラ。

 

 西野カナの主題歌「You & Me」も可愛かった。

 

 あんまり頭を使って見る映画じゃないのがよかった。あまり共感できなかったのは急展開すぎることもあると思う。元々長い漫画を凝縮したストーリーなのだし、その辺は仕方がないというか、そこを見るものではないのだろう。

ヒーローマニア-生活-(原作未読)

2016.05.07 18:20

AC スクリーン4

 

 自分を甘やかそう企画第3弾。

(関係ないけど、「弾」と「段」があることに気付いた。意識せず使っていた恥ずかしい)

 

 お腹が空いていたので、チーズホットドッグ420円と、いちご&ピンクグレープフルーツソーダ420円を購入。

オリジナルホットドッグにすればよかったなとちょっと後悔。

 

 チケットを買ったときには先約があったのを見たんだけれど、まさかの貸し切りでした。めちゃくちゃ寛いで見たよ。

 

 正直に申し上げて、窪田正孝が見たかっただけ。(公開前のビジュアルなども見て、万が一はまらなくても、窪田さん演じるキャラ萌えだけで2時間耐えられると判断)なのだが、東出昌大はしゃべくりで見て好きだったし、小松菜奈ファム・ファタールっぽくて好きだし、仮面ライダードライブを見てたので片岡鶴太郎も好きだった。つまるところ主要メンバーは皆好きだったので密かに楽しみにしていた。

 原作は福満しげゆきの漫画『生活』。Webで冒頭のみ立ち読みできて、面白そうなので単行本を買おうかなと思っている。

 

 監督・豊島圭介は『新耳袋』の人というイメージ。脚本・継田淳は『山形スクリーム』『めめめのくらげ』などは見たことがある。未見だけど『虎影』の脚本も書いておられるね。

二人とも新耳袋シリーズや、ドグちゃんシリーズに関わっていると知り少し嬉しい(窪田さんと、斎藤さんが出ているため)。ドグちゃんは近いうちに見たいなあと思ってる……思ってるだけになりそうな気もする。

 

 さて、映画の感想を書く。

 

 なんかもう最底辺のような暗くて汚くて町に住んでいる中津が土志田と出会ってカオリと出会っておじさんと出会って……社会にあぶれた人間が正義感だけ持て余して鬱屈としているのってとても現代っぽい。その反面、おじさんみたいにサラリーマンをして、娘も自立して子供が生まれたりしている柔らかな普通の幸せも存在している。これは彼らの主観の世界の違いなのかなと思う。

 そして肝心の土志田くんは……とっても素敵だった。ニット帽、大き目のモッズコート、指ぬきグローブ、だぼっとしたハーフパンツ、バッシュ。サイズ感が最高にかわいく、そして中二心をくすぐる。野村哲也の描く少年みたい(すばせかのネクとか)。

根暗だけどいい子で、誰よりも中津のことを大事に思っているというか、実質唯一の友人なのです。激昂するシーンなどはさすが窪田さんで、暗さや優しさがよくわかった。

 ストーリーはギュッと詰め込んだ感じで、急展開過ぎて置いてきぼりになったりもしたが、ストーリーを見る映画では多分ないのだと思う。吊るし魔が警備会社になったことでダークヒーローが形骸化していくところなどは現実的な話だと思ったし、違和感を覚えながら何も言い出せない中津の気持ちもよくわかる。

 船越さんの胡散臭さといったら。最初に出てきたときはいい人???って思ったけど、全然違った。とんでもねえやつだったよ。めちゃくちゃ気持ち悪くて最高だった。最後にちゃんと辱めを受けるところもスカッとして少年漫画らしくてよかった。

 

 音楽が好きだった。効果的というか、漫画的。書き文字みたいにドーンと使われる曲が、脈絡がないようでいて町の混沌を表してると思う。DAOKOの曲がよかった。

自分のテーマ曲はなんだろうとか考えたりすると、そこにいる全員に一曲ずつテーマがあるという仮定が生まれる。そんな風に考えると社会はつねに爆音だなあと思う。

 

 自分を甘やかそう企画はこれで終了。

今後もたまに開催したい。感想は見た直後に書かないとだめだね。

 

スキャナー 記憶のカケラをよむ男

2016.05.07 14:10

AC スクリーン8

 

 自分を甘やかそう企画第2段。

立て続けに2本目を見る。

ブログのタイトルにもした柚子ジンジャーソーダ420円を購入。

 

 さて、率直な感想を書くと、いまいち乗れなかった。

野村萬斎宮迫博之も大好きなんだけれど。

音楽学生・亜美(杉咲花)に対する担当教員・雪絵(木村文乃)のセリフ、

「あなたには才能があるんだから」

これにどうしても拒否反応が出てしまった。

作中で本当に何度も何度も繰り返されるセリフで、大切な局面で仙石(野村萬斎)を勇気付けたり?もするんだけど……

 

 「才能がある」っていう言葉はとても無責任で押しつけがましいと感じてしまう。

単なる向き・不向きの話ではなくて、音楽や美術などの価値基準が万人に分かりづらい分野では、特に慎重に扱わなければいけないものだと思っている。

当人がどんなに努力して手に入れた能力でも「才能」の一言で片付けられることはままあるし、才能がなかった大多数の夢も勝手に背負わされてしまう。

ましてやその道のプロを目指している人間にかける言葉としては最悪で、下手をすればその芽を枯らしてしまいかねない。

そんな言葉を不用意に教員が使うことに非常に違和感をもったのです。

 

 そんなわけで序盤でめちゃくちゃ引いてしまって、なんだかとても冷静な気持ちで観賞してしまった。

 頻繁に回想シーンが挟まって過去と現在を行ったり来たりするんだけど、現在の亜美と雪絵の2ショットは「先生の夢を私に押し付けないで」と仲違いする場面しかなく。それなのに亜美が行方不明になった雪絵のことを「素敵な人だから探してほしい」と依頼するのは、(分かるけど)ちょっとこの子情緒不安定すぎやしないかと思ったり。

記憶から人の悪意を読み取ってしまうため人間不信の仙石に、「素敵な人だっているよ」という亜美の働きかけが必要なのだとしたら、もっと亜美が雪絵を慕っていることが明確に示される描写がないと足りないのではないかと感じた。見てる側には、才色兼備で将来を有望視されていたが事故で弾けなくなった、という一般的な情報しか与えられてないので。もっとパーソナルな描写が欲しかったなあ。

 

 仙石と丸山のやりとりは、いがみ合いつつもお互いの一番の理解者なんだということが言葉の端々から感じられたし、仙石がインチキと呼ばれることに一番憤っているのは実は丸山なのだという描写もよかった。

主要コンビに長い歴史や信頼関係が感じられるのは古沢良太作品の好きなところ。

 

 脚本・古沢良太の作品はいくつか見たことがあって(『探偵はBARにいる』とか『リーガル・ハイ』とか)、

好きなところは色々あるんだけど、たまに説教っぽく聞こえることがあって。全部言い過ぎちゃうというか……。

 

 最終的には丸く収まって、ハッピーエンド風ではあるんだけど、

雪絵の前に犠牲になっていた二人は報われないまま(劇中でもほぼ登場しない)だし、丸山の借金は残ったままだし、マイティーズは復活するのかも分からない。

全体的にモヤッとしたまま終わってしまった感じがある。

でも野村萬斎を映画で見るのは『のぼうの城』以来だし、カチッとした硬めの青みがかった映像や仙石の部屋の熱帯魚などはいかにも推理ものっぽくてとても好きでした。

 

ズートピア2D吹替(レビューサイト既読)

2016.05.07 11:50

AC スクリーン7

 

 GWなので自分を甘やかそう企画。映画一気見の日。

甘やかしてるのか強いてるのか分からないけれども、

 

ズートピア

スキャナー 記憶のカケラをよむ男

ヒーローマニア-生活-

(見た順)

 

を見ることにした。

 

 まず初めはズートピア。

ディズニー映画ということもあり、いつもよりお客さんは多い。家族連れも。

 今日の初めなので、GODIVAショコリキサー600円を購入。

大好きなのだけど600円もするのがな~

 

 吹替しかなかったのが悔やまれる。字幕もあったら吹替と字幕で2回見ていたと思う。

多分これは字幕で見ないと面白くない!

森川さんのニックは大変よかったです。

あとライオンハート市長が玄田哲章さんでしたね。

ジュディの上戸彩さんも、ジニファー・グッドウィンが良過ぎるせいか賛否両論見かけるけど、わたしは好きだった。意志が強い感じや若さ(青さ)が出てたと思う。

 

 なんにも考えずに見ていてもメチャクチャ楽しいし、

色々考えながら見ても身につまされるようなところもあった。

とにかく展開が早くて場面がもの凄く多いのに、よくまとまっているというか、隙がない。前半で散りばめた問題提起を上手に一つずつ回収していってる。カタルシスもある。

脚本が7人もいたしエンドロールもめちゃくちゃ長かったし、たくさんの人達が関わって作り上げてるんだなあという印象。

 

 まず、キャラクターのデザイン・設定がめちゃくちゃ可愛い。

 主人公のジュディ。ウサギは肉球がなくて、フワフワの白い手のひらが可愛い。

ディズニープリンセスは口の片側だけクイッて上げるセクシーな笑い方が特徴だと思うんだけれど、ジュディもそう。賢そうに見える。

 免許センターの職員がみんなナマケモノ。これは大人向けのジョークだろうなあと思う。ゆっくり大笑いするフラッシュはすごく可愛い。のろまに見える彼にジュディがやきもきするシーンもあり、アメリカでも日本でもそういうとこは同じなのね。

 スーツを着たレミングの集団はサラリーマンだろうなあ。

 ジュディが同僚となる警察官たちは屈強な動物ばかり。署長も水牛だしね。水牛はサバンナ最強でライオンより強いらしい。

 それぞれの動物に合った環境の町作りがされていて、ネズミにはネズミ向けのミニチュアな町があるし、砂漠の町、氷河の町、色々ある。色んな町がギュッと集まっているのはデザインとしてもすごく面白い。

 

 そして上述したように動物の配役一つ一つが細かいなあと思うのである。

 ジュディはウサギ初の警察官になるわけだけれど、そもそも田舎の両親は夢を持つこと自体に反対している(「ウサギはニンジン売りになるべき」と言ってる)し、回される仕事は駐車違反の取り締まり。警察学校を首席で卒業したのに、思うような評価を受けられずジュディは落胆、憤慨する。(仕事に関しては、新人なのだから危険な仕事をさせないのは当然でしょって思った)

 相棒になるキツネのニックも、キツネは嘘つきだと決めつけられ、就職できないため詐欺師をして暮らしている。

 他にも「ズートピアでは何にだってなれる」と言ってるライオンハート市長はライオン(肉食)で、副市長としてこき使われてるベルウェザーがヒツジ(草食)だったり。

 これらが全て後半になるにつれ必要不可欠な配役だったということが分かる。

 

 パロディもたくさん散りばめられている。これは色んなレビューサイトに画像つきで詳しく載ってるので書かない。一番好きだったのは、ボゴ署長からジュディへの台詞(うろ覚え)。

「現実はミュージカルみたいに歌えばなんでも解決するってわけじゃないんだよ諦めろ、ありのままに(Let it go)」

これはアナ雪の揶揄であり、ディズニーの自虐なのかな。

 

 非常に雑な言い方をしてしまうとこの物語は警察官と詐欺師のバディもの、なんだけれど、

・ジュディ(ウサギ、草食、警察官、お上りさん、幼少時キツネと喧嘩して怪我をする)

・ニック(キツネ、肉食、詐欺師、夢を諦めている、幼少時草食動物にいじめられ挫折する)

この対立構造だけでもなんだか色々と察してしまうのである。

二人(二匹?)はくっつくのかと思いきや、深い友情で結ばれることになるところは凄くよかった。男女だからって全部恋愛にしてほしくない。

 

 野生に戻ってしまった動物たちを隔離していたことでライオンハート市長は逮捕されてしまうんだけれど、そうなる前に科学者に言っていたこと(うろ覚え)、

・野生に戻る症状が出ているのは肉食動物だけ、そんなことを市民が知ったらどうなる?

・肉食動物である自分が市長をしていることを市民たちはどう思う?

・(上述したことは)市民に知られてはいけない。早く原因を突き止めろ。

こんな感じのことを言っていたんですが、

これは別に保身でもなんでもなく、政治家として真っ当な意見だと感じた。

原因が分かっていないのに症状だけ周知されてしまっては、無意味な恐怖を与えるだけだしね。ましてや市長自身も信用を失うとなっては、どうしたって市民をまとめることができなくなってしまうし。

 

 この発言を聞いたジュディは義憤に駆られてライオンハート市長を逮捕するに至る。

でもそれって、自分が草食動物として不当に扱われているという気持ちも多少含まれていたと思うのよ。

 そしてこのあとの記者会見で、彼女のなかの隠された偏見が(きっと本人も気づいていなかっただろう)明るみになり、それによって一度は結束したニックとの距離も離れてしまう。

 相棒になってくれないかと頼まれて、一度は記入しかけた入学手続きをジュディに突き返して去るニックは凄く悲しかったと思うし、自分は平等な視点を持っていると「思い込んでいた」だけだったことに気付いたジュディもショックだっただろうと思う。

 

 結局、黒幕は副市長のベルウェザーだったことが分かるんだけど、ベルウェザーは悪人(悪羊か)だったのかと言われると、これも微妙な話で。

名ばかり副市長としてこき使われて、有り合わせのマグカップ(ロゴの世界一のパパ、のパパの部分を赤ペンで消して副市長と書き直されてる)なんか押し付けられて、これでは市長を陥れようと思っても仕方がないんじゃないか。草食動物が市長になったら世論も大きく動きそうだしね。

 

 ベルウェザーの自白を誘発するために一芝居打つシーンがある。映画冒頭で幼いジュディが学芸会で行ったのと同じように、肉食動物(ニック)に襲われて大袈裟に死んでみせるシーンだ。

学芸会では、「でもこんな(前時代的な)ことはもうあり得ません」という文脈で語られていたが、直後にいじめっ子のギデオン・グレイ(キツネ)と揉めて怪我をさせられている。肉食も草食も関係ないという語り口から、今でも肉食動物は野生の本能を持っているということが示され、ジュディの中にもトラウマとしてそれは植えつけられている。

それを物語の最後でもう一度、学芸会と同様に大袈裟に演じてみせることで、「やっぱり、草食も肉食も関係ないんだ」とジュディの腹が決まったことが分かる。そして自分のトラウマをもここで解消してしまう。

なんというカタルシス。上手いというか巧いというか。さすがディズニーだと思った。

 

 この物語は一応完結するけれど、何もかも全て解決されたわけではない、とは言え、みんなの心の中が少し良い方に変わったんだろうと思える。きっとこれからも彼らは色々な困難を乗り越えていくんだろうと思わせるエンディング。

ニックがキツネ初の警察官になるのも、ちょっとハッピーすぎるけれど「ズートピアでは何にだってなれる」というポイントを最後に思い出させてくれた。

 

とりあえず凄くよかった。めっちゃ長くなった。

早くDVDを出してほしい。

アイアムアヒーロー(原作未読)

2016.04.26 16:30

AC スクリーン5

 

学校帰りに。

夕飯を食べていなかったので、

レモネード450円とナチョスWソース600円を購入。

お客はわたしと、前の方にカップルが1組。

 

なんでもいいから映画が見たかったため、

とりあえず映画館へ向かいながら上映スケジュールを確認した。

原作は未読だったが、その評判はよく聞いていたので

これで面白かったら読もう、もしくは

つまらなかったら確認のため読もうという適当な気持ちで観賞。

 

早急に原作が読みたい。

けれど、まだ連載中らしい。

完結していない作品を追いかけるのは苦手だ。

漫画雑誌を読む習慣がないので情報を追いきれずに脱落してしまう。

完結したら読みたい。

 

若干コミュ障気味の漫画アシスタントが主人公の英雄。安心安全の大泉さん。

うだつの上がらない感じがとてもいい。

脇役に塚地さんやマキタさんが出ているのも嬉しい。

わたしは芝居のうまい芸人が好きなのだ。

てっこを片瀬さんがやっていたのも、可愛くてちょっと疲れてて生活感があってよかった。あと単純に片瀬さんが好き。

 

ちょこちょこ原作とは違う設定や描写になっているのだろうなという印象。

漫画という紙面上で描かれるにしては、登場人物の死に方が自害だったり揉み合った末の事故だったり、小規模なのが多かったのでそんな風に思いながら見ていた。

 

好きなシーンは、

持ち込みを断られた英雄が売れっ子の漫画家、中田の作品を公園で読むところ。

面白い、と言って笑う。そしてより落ち込む。

やっかみから文句の一つでも言ってやろうと思ったのに。

英雄が漫画を本当に好きなこと、貧乏で燻ぶっているけれどもまだ心は曇ってないということが分かる。

情けないけど誠実な人間なのだと思う。

観賞者をぐっと映画に引き寄せている。

 

それから猫缶を食べる比呂美ちゃんも可愛かった。

有村さんもいつまで高校生させられんだろうと思うけれども。

 

いつも癒し系・待つ女みたいな役しかやっていないイメージの(失礼)長澤さんが、

立ち回りもかっこよくアクションもしていたのが素敵。

クソムシみたいなキャラクターだったけど吉沢さんが久々に見れて嬉しい。

胡散臭さ、宗教っぽさがはまっていた。マジでクソ野郎。勘違いっぷりも良い。

 

ゾンビ(映画ではZQN)をバシバシ殺していく描写は爽快感たっぷり。

ゴア描写は苦手なので途中などは薄目で見ていたけれど、

痛々しいシーンなどはあまりなく、むしろ殺す側の表情や動作に焦点があたっていたように思う。

アベサンがZQN化した妻を手にかけるシーンは、悲しいけど幸せでもあったのかな。

 

多分映画は、漫画の中の一編をピックアップして作っているんだろうけれども、

完結していない話を上手にまとめていると思う。

何も解決してはいないけれど、ちゃんと希望も残されているように思えるし、

アウトレットで集団に参加し、脱出したということは通過儀礼の側面も持つだろう。

ただの情けない男がちゃんと覚醒して仲間を守るために戦っているし。

銃をかまえる英雄はかっこよかった~

 

というわけで、原作を読みたいです。まとめて。