喰女-クイメ-(DVDにて)
2016.06.30
色んなことが一段落して、一人で寂しいので映画を見る。
見ようと思っていたDVDが全部借りられていたので、気になっていたけど見ていなかった映画を借りる。
監督は三池崇史。痛そうだな、という印象(物理的に)。94分と短い作品。原作は山岸きくみの『誰にもあげない』。気になるので読んでみようかなと思う。
EDが素敵だった。
気になる映画は、見る前にレビューを読んでしまうのだが、この作品に関してはレビューを読んでもいまいち分からなかった。レビューで満足しちゃうと見ないんだけれど。好きなレビューサイトをいくつかまわったけれど、視点の定まらなさそうなところが面白そうで結局観賞する。
柴咲コウと市川海老蔵はやっぱり綺麗。脇を固める役者さんも豪華。加代子を演じたマイコがとっても素敵だなあと思った。
舞台を映像にしたような撮り方で正面性が高い。舞台の美術がすごく美しくて、現代的な作り方をされてる。ドッグヴィルとか、アンゲロプロスの作品とかを思い出した。画面もずっと暗いし、ずっと舞台のなかというか、幻想のなかにいるような感じがする。もしかしたら最初から最後まで、全部誰かの妄想なのかも知れないし。
浩介(市川海老蔵)は売れない役者という設定らしいんだけど、正直言って海老蔵さんが役者としてしっかり存在しすぎているのであまり説得力がないような気がする。あまり映画では描かれていないけど。
美雪(柴咲コウ)は劇中では最初から病んでいる。妊娠検査薬を何度も使ったり、大量の料理を作ったり。下半身ゆるゆるで軽薄な浩介に対して、徹底的に待つ女の姿勢を貫いているけど、もう現実と妄想の境が分からなくなっている。身籠ってもいない子供をフォークを使って堕ろそうとしたり。(※産もうとしていた説もある)
見ていてとてもつらい。もうずっと昔からの積み重ねで、二人の関係はとっくの昔にだめになっていて、お互いに都合のよいところしか見ないようにしている。どうしてこんなに行き違ってしまったんだろう。劇中では何もわからない。ただ二人がだめになってしまっているというだけ。
わたしが見ていてとても良いなあと思ったのは、宅悦(伊藤英明)の存在。伊藤英明ってこんなことも出来たんだなあ。なんだかいつも誠実な好人物ばかり演じているようなイメージなので、宅悦のような俗物も出来るならそういう役もたくさんやってほしいな。良い意味で、全然伊藤英明らしさがなかった。
結局、自分の業に飲み込まれてしまったということなんだろうか。
それとも、これが愛なんだろうか。