3月見た映画

▼モアナと伝説の海(2D吹替)

 マッドマックスだと聞いてたけど、マッドマックスだった。行って帰ってくる話。マッドマックスは立ち寄って去る話って感じだけど。水の表現は本当にすごい。CG業界では定期的に「水」がアップデートされるような気がする。

 ついにディズニープリンセスは王子様なんて待たずに一人で冒険できるようになった。モアナは村長の娘なのでれっきとしたプリンセスではあるんだけど。救ってくれる人じゃなくて、信頼でき、信頼してくれる存在(マウイ)がいることが自分を強くしてくれるということなんだろうね。選んだ側の海はもうちょっと手伝ってやれよ、というか自分で返せばよくね?とは思ったけど。

 たぶんポリネシアらへんが舞台なんだけど、装束や伝統的なタトゥーも凄く美しいし(おばあちゃんの背中のエイが素敵)、顔や体つきもすごく魅力的だった。ちゃんと「生きている」感じがする。「プリンセス」から想像されるのは細身ですらっとしてか弱くて顔もバッチリ黄金比でみたいなのばっかりだったけど、それだけが美しいってわけじゃないんだよね~ということを表現してくれてありがとう。

 

▼SING(2D字幕)

 嫌いだった。

 何が嫌いって、主人公のバスター・ムーンがクズのままで最後まで何も成長しないんだよな。音楽やショーが大好きで、素晴らしいものは素晴らしいと自信満々で言えることや、演出の技術を持っている(イカをスカウトするくだりは面白綺麗だった)ことは美点だと思うけど、逆にどこまでも無責任で人任せにも見える。劇中歌やライブのシーン、ショーのメンバーがみんなそれぞれ何か背負いながら克服していくのを見ているのも楽しかった。だがバスター・ムーン、てめえは駄目だ。

 ミニオンも全然乗れなくてただただ不愉快な気持ちになったし、イルミネーション・エンターテイメントの作品がただ単に合わないんだと思う。

 

キングコング:髑髏島の巨神(4D吹替)

 面白かったですね~~。ただ佐々木希の吹き替えはマジで終わってた。佐々木希はお芝居も下手だから声の演技なんて何をかいわんやでしょ。

 今まで見たキングコングは、人間の領域に連れて来られてしまってるので、そこに居るだけで破壊者になってしまう。コングは悪くないけど無関係な人間も悪くないからこそ悲しい話にもなってたんだけど、今作はもうどこからどう見ても人間様が100億パーセント悪い。勝手に彼らの領域に侵入して勝手に攻撃して返り討ちにされてるわけで、これはもう、何も擁護ができないです。ということで、何の葛藤もなしにキングコングの強さを享受できる。これはものすごい爽快感でしたね。

 外の人達(主人公界隈)にとっては単なる研究やあわよくば支配の対象であるコングは、そこに住む民族にとっては偉大な守り神で畏怖の対象であるわけです。

 パッカード大佐(サミュエル・L・ジャクソン)がマジで脳筋クソ野郎だった。でもこういう人って当時はたくさん居たんだろうなと思わせられた。彼は軍人としての自我しか持っていないので、戦う相手が居なければ架空の敵を作り出してでも侵略することでしか生きられないんですな。

 コンラッド(トム・ヒドルストン)はよく考えるとそれほど活躍してないんだけど、画面に映ってるだけで安心感があるすごいやつだ。パッカードたち軍人チームに対してこちらはコングを理解して共闘するという展開も熱かった。あと地味にムカつくキャラが全員死んだのもよかったです。

 4Dで鑑賞したけどガタンガタン動くし、何より飛んでくる水の量が他の映画に比べすごかったですね。霧みたいにピャッと飛んでくるだけじゃなくて、そこそこの量でビチャッと来たりもした。楽しかったです。

 

ラ・ラ・ランド

 なんか凄く刺さりました。ミュージカル映画は元々好きなのですが、ミュージカル映画へ捧げるミュージカル映画っていう見方で良かったのかなあ。劇的に美しかったですね。そして凄い情報量だった。見るの疲れたもん。ハリウッドを舞台にしたからには、あれぐらいの情報量がないとやはり足りないんだろうね。

 『シェルブールの雨傘』や『ロシュフォールの恋人たち』を彷彿とされる映像やストーリー展開でした。というかラストなんてまんま『シェルブールの雨傘』。あれもわたしは大好きな映画なので、それを違った形で見ることが出来て嬉しくなったりもした。

 手に入れた幸せよりも、手に入れられなかった幸せのほうが美しく見えちゃったりするんだよな~っていうことは思いましたね。だからと言って現在の幸せも確かに自分を満たしてくれているわけで、それをみすみす手放すような真似はできない程度にはミア(エマ・ストーン)もセブ(ライアン・ゴズリング)もたくさん努力して現在の場所に立っている。だけど今でも心の一部を預け合った存在であることはお互い諒解しているのね。

 でも二回目は暫く経ってからでいい。心臓を掴まれすぎて見終わったあとがしんどい。

 

ひるね姫~知らないワタシの物語~

 うーん、少し物足りなかった。神山健治だったので見たんだけれど。

 夢と現実を行ったり来たりする話や、それらがリンクして干渉し合うような話はめちゃくちゃ大好物だし、ロボットも好きだし、魔法を使う道具がタブレットというアイディアも面白いなと思った。声もちゃんとした俳優さんが当ててるし。

 なんだか駆け足のストーリーのようでいて、でもこれ以上掘り下げても出て来なさそうな感じもあって、面白いんだけど、登場人物の行動の意図があんまり理解できなかったりして、うーん、なんだろう、この気持ちはなんだろう。全体的に、「全体」を保つためにキャラクターが動いてる感じがあった。渡辺の謀略が露呈して大騒ぎになる大サビともいえるシーンでは、やっぱり夢と現実がないまぜになって魔法や巨大ロボットでドタバタアクションしてほしいけれども、そもそも夢と現実が混ざるにはココネが眠らなきゃいけなくて、そんな大事な局面でお前、寝んなよっていう……。

 攻殻サマーウォーズを足して10倍ぐらい希釈した感じだったなあ。