美女と野獣(仏・2013)

 金曜ロードショーを見ている。

 

 ベル(レア・セドゥ)が美しい。ヴァンサン・カッセルがエロイ。仏版の野獣はライオンっぽくて、尻尾も長くて可愛い。

 ベルのお父さんはなんか嫌な感じの商人。ディズニー版と違って命とられても止む無しって感じ。ベルは何を考えてるのか分からないし、自信があるようで、冷静なようで、思慮深いようでいて、全くそうでもないような気もする。行動にあまり一貫性がないし、それほど「変わり物」に見えない。普通。息を呑むくらい美しいけれど、あまり好きじゃない。

 その点野獣さんは、野獣の姿でも全然エロイし、めちゃくちゃ人間。体が獣っていうだけでそれほど獣っぽい動きもしない。動物は食ってたけど。人間だった時と性格もあまり変わってないよね。性格も尊大だし、好色だし、弱さを見せるのが魅力ということが分かってる。要するにモテ男キャラのままなんだよな。それに山路和弘さんの声がどっからどう聞いてもかっこいいから全然怖くない。むしろありがとうございます。

 

 登場する男性陣は、ベルの兄のトリスタンを除いて全員が意地汚くて頭の悪い人たちだ。野獣になる前の王子さまもそう。一言で言うと野蛮。当時の文化では普通だったのかも知れないけど見ていて気持ちのいいものではない。けれどディズニー版のガストンのように小賢しいことをしないだけマシかな。

 女性陣も頭悪い。アストリッドも役に立ってるようで立ってないし、馬鹿の親玉みたいなのと付き合ってるから実質プラマイゼロ。みんな頭悪いな。何なの。

 

 ディズニー実写版では、ベルと野獣がどうして愛し合うに至ったかをかなりの尺を割いてじっくりじっくり描写されてて、二人が恋仲になるのも説得力しかなくて、やっぱりディズニーの脚本は巧妙だなと感じるけれど、仏版はその辺がバッサリ切られていて、それ以外のシーンが掘り下げられている。今回は魔女じゃなくて妖精の力なので、その辺の描写が多いのは見ていて美しいし楽しくもあるんだけれど。

 結局、野獣とベルが愛し合う理由は今ひとつ分からないのよね。野獣は元カノを自分のせいで永遠に失ってて、ベルは夢の中で何度も野獣の人間だった時の姿を見ているわけだからこいつええ男やんけって分かってて、それで何やかんやあって一緒に居たらそりゃ付き合うわなっていうそれぐらいのことしか見ていて分からないんだよな。

 元カノのプリンセスにしたって、愛って何だろ~的なノリで人間になって恋人ゲットしてみたはいいものの、その恋人がアホなせいで自分は死ぬしお父さん激おこなのに「パパ~彼ピッピを許してあげて~」ってそんな虫のいい話はないですよ。元はと言えばプリンセスのノリが王子を野獣にしたと言ってもいいので、そう言われてみると野獣も可哀想かな。所詮は人間が妖精のルールを守れるわけがないんだもの。

 

 案の定アホな兄二人は、宝石盗めば借金返せるじゃんラッキーみたいなアホ極まりない理由で妹の恋人のおうちに忍び込んじゃうんだけど、さすがに住居侵入+窃盗+器物損壊しちゃってるのであんな目に遭ってもしょうがない。それよりベルと再開した兄たちが急にベルと野獣を助けるのがよく分からない。妹のマントについてたブローチさえ盗んだアホなのに。アホだから?

 

 わたしが現代生まれの日本人だからか、全体的に誰の気持ちも分からなくて、ただただ人間と景色の美しさを楽しむだけの映画になってしまった~

 分かりやすく勧善懲悪というわけでもないし、説明するだけの台詞や逆に言いっぱなしの部分も多い気がする。ディズニーと違った舞台や世界観は面白いし、美術もすごく凝っているだけに少し残念。